きむら食堂

東京オリンピックの年に始めた、きむら食堂。
今年で55年になるそうです。そして今日10月3日をもってお店を閉めるという情報から、
慌ててかみさんとチビと3人でお店を尋ねました。
三沢基地のメインゲート近くに建つきむら食堂。
自分は以前、この近所に住んでいて子供の頃からお世話になっていました。
お袋なんて一番困ってる時に助けてもらって、未だにお世話になりっ放しです。
木村のおじちゃんはチャキチャキとしていて、どこか江戸っ子的な風で、
子供心にはちょっと怖いおじちゃんという感じでしたが、最近は年と共に丸くなってきたのかな。
態度にはあんまり出さないけど情に厚いって感じ。ホント昔の職人気質な人なんだろうと思います。
メニューも全然変わってない気もします。冬になれば鍋焼きうどんもやってたんじゃなかったっけ。
子供の頃は鍵っ子だったので、チャーハンを食べたい時は精養軒、ラーメンを食べたい時は君の家、
ここではカツ丼かカレーライス、生そばをよく食べてたかな。
田舎にしては上品な味付けのカツ丼です。
チビが前も食べてお気に入りのカレーライスは、昨今のカレーの様にスパイシーではありません。
昔のカレーライスという感じでしょうか。小麦粉からやってるのかな?
そしてきむら食堂と言えば、この海苔巻きといなり。
この日は残念ながら赤飯のおにぎりはなかったのですが、
小学校や中学校の運動会ではこの3点セットが欠かせませんでした。
昔は日曜日に運動会があったので日曜は定休日なんですが、
シャッターを半分閉めて海苔巻きやいなりを売ってました。たくさん買いに来てたんじゃないかな。
きむら食堂の海苔巻きを食べたら、他のとこのを買って食べる気がしませんよ。
そのくらい美味しいんです。シンプルなんですが、ほんのり甘味を感じる美味しい海苔巻きなんです。
子供の頃から慣れ親しんだこの味が食べられなくなるなんて想像もしていませんでした。
電卓など使わず頑なに木のごついソロバンで計算中。
電卓だと数字があっちゃこっちゃ行っちゃうそうです。
お店を閉めるのはお客さんの注文を間違えたり忘れたりする様になったからだとか。
「俺もだんだんボケてきた」とおじちゃん。御年85だもんなぁ。
キッチンブーケ、みかく、大黒屋と、三沢の数少ない古き良き名店がどんどん消えていきます。
第一食堂だっておばちゃんはかなりの年だし、唐揚げ人生も後継ぎがなきゃ・・・。
懐かしい味を思うと寂しくなってきますね。
木村のおじちゃん55年間ご苦労様でした。
そして今まで美味しいご飯を作ってくれてありがとうございました。